相続時精算課税の相続税計算
- 2020.07.09
- ファイナンシャルプランナーへの道
えふぴー爺さんです。いままでの実技問題で相続時精算課税制度についての問いが度々ありました。今回の”きんざい”発行のFP2級精選問題解説集のF-6:「相続時精算課税制度」では、実際に計算を行います。確かに、相続時精算課税制度について覚えることはありましたが、実際に相続税の計算に含まれたことはなかったです。
F-6の例題文では相続時精算課税制度への問いが事前に数問ありますが、いままでの復習レベルなので難しくはありません。
実技例題としての問いは、ザックリと記載すると「贈与時点の相続税評価額が3,000万円のマンションを相続時精算課税制度の適用を受けた場合の贈与税を求めなさい。但し、これまでに本制度の適用を受けた贈与はない。」という例題です。相続時精算課税制度で控除される金額は2,500万円なので、
贈与税=(3,000万円ー2,500万円)× 相続時精算課税制度適用贈与税率は一律20%
上記の式は、贈与された時点のマンション評価額(3,000万円)に対して、相続時精算課税制度では累計で2,500万円まで非課税なので、残る500万円に贈与税が発生します。注意すべきは、相続時精算課税制度を適用したので暦年課税制度(基礎控除)は適用されません。
贈与税は基本的に超過累進課税です。基礎控除額(110万円)を除いた課税価格により、税率と控除額が変化します。しかし、相続時精算課税制度を適用した場合の贈与税は一律20%です。残念ながら、えふぴー爺さんはこの税率を思い出せずに不正解でした。
なお、贈与税の税率区分で「一般税率」と「特例税率」の2区分があります。その違いを再確認しておきました。「特例税率」は直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など直系卑属)への贈与税の計算に使用します。「一般税率」は「特例税率」以外になります。
次に、相続時精算課税制度適用を含む財産に対して、課税価格・基礎控除額・相続税総額を求める実技例題です。ポイントは2つ。
- 相続時精算課税制度適用の財産は、贈与時点の相続税評価額を課税価格に加算
- 贈与の際に支払った贈与税を、相続税額から控除する
です、相続時精算課税制度は、その名の通り精算するので、贈与時の相続税評価額で改めて相続税を算出する一方で、贈与時に支払った贈与税は相続税から控除する(戻ってくる)ことで精算しています。
なお、ちょっと腑に落ちないのはF-6の例題では「相続税の総額」から贈与時に支払った贈与税を引いていないのです。でも、説明ポイントには「相続税額から控除する」と記載されています。なぜかなぁ? ”きんざい”HPで正誤情報を確認しましたが存在しません。そこで相続税の手順を調べたら、相続税の総額を算出した後の段階(個人の相続税を算出する段階で)、相続時精算課税制度による支払い済の贈与税が、該当する個人の相続税から控除されるのだと納得しました。
【重要事項】本文はブログ作成当時のファイナンシャルプランニング技能士国家試験に向けた学習記録を綴った内容です。従って、本文中に記載した法令等に基づく記述は現在の内容と異なる可能性があります。法令等に関する内容は、必ず最新情報をご確認ください。宜しくお願いします。
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