相続放棄を含む相続税計算

相続放棄を含む相続税計算

えふぴー爺さんです。「相続税の計算」の最終回です。”きんざい”発行のFP2級精選問題解説集のF-5:「相続税の計算(3)」になります。実技例題は相続を放棄する人がいる場合の相続税の計算です。

実技例題の前に「相続の放棄」についてえふぴー爺さんは一部の理解が間違っていました。その部分の問いは「家庭裁判所に相続の放棄を申述し受理された場合は、放棄を撤回することはできない」、これは適切か不適切か。正解は適切で”放棄を撤回できない”です。実は遺産分割協議のやり直しはできる、と覚えていたので”放棄の撤回もできる”のではないか、と考えたからです。うる覚えでした。そこで、相続放棄について調べてみました。

相続放棄の撤回は出来ない。根拠は民法に定められています。相続については3か月間の熟慮期間が設けられています。その上で判断した結論です。後日になって、すでに進行している相続手続きの最中に、撤回となれば他の相続人や遺産の関係者に混乱を招くことになるからです。しかし、もともとの相続放棄に問題があったことが発覚した場合は相続放棄の取り消しが可能です。いくつか該当する事由がありますが、大切な3つを確認します。

  1. 詐欺や強迫によって相続放棄をさせられた場合(民法96条)
  2. 未成年者が法定代理人の同意なく相続放棄をした場合(民法5条1項、2項)
  3. 成年被後見人本人が相続放棄をした場合(民法9条本文)

です。3項目を補足すると、成年後見人本人とは、後見制度により十分な判断能力のない本人が、勝手に相続放棄をした場合です。という事で、相続放棄も慎重に判断しないと後悔することになります。

次は実技例題です。相続放棄した人がいる状況で相続税の計算をする場合は、相続放棄した人も相続の放棄をしなかったものとして計算します。最初は基礎控除額の計算をする場合に法定相続人数に含めます。次に、相続放棄した人も、放棄しなかったものとして相続税を計算します。従って、相続税の放棄をする人がいても、相続税の計算には無関係と考えればよいです。

念のため、仮に相続放棄した人を法定相続人から除いて、相続税を計算してみました。結果は、正しい相続税の総額よりも増加します。税金は少ない方が助かるので、変な計算はしないようにしましょう。

【重要事項】本文はブログ作成当時のファイナンシャルプランニング技能士国家試験に向けた学習記録を綴った内容です。従って、本文中に記載した法令等に基づく記述は現在の内容と異なる可能性があります。法令等に関する内容は、必ず最新情報をご確認ください。宜しくお願いします。