年金と保険金の税務

年金と保険金の税務

えふぴー爺さんです。前回は個人事業主の税務でした。今回は年金や保険金の税務です。”きんざい”発行のFP2級精選問題解説集[実技]のD-6:「年金・保険金の税務」例題ですすめます。

まず公的年金は雑所得に区分されます。所得金額は年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いた金額です。一例として、71歳で公的年金収入360万円の場合の計算は次のようになります。

  • 公的年金等控除額=360万円×25%+37.5万円=127万5千円
  • 公的年金所得額=360万円ー127万5千円=232万5千円

このように公的年金控除額を求める式は、65歳を境にした年齢区分で異なります。

また、生命保険契約に基づく個人年金(個人で生命保険会社と契約した年金です)も雑所得に区分されます。個人年金からの収入金額から必要経費を差し引いた金額が所得金額です。必要経費は「年金の総支給額」に占める「払込保険料総額」の割合を求めてから、この割合を一年間の個人年金収入金額に掛けることで計算でき、その額を必要経費とします。一例として個人年金の年間収入金額300万円。この保険契約の払込保険料総額は1,440万円。年金の支給総額の見込みは2,400万円とした場合の計算は、

  • 必要経費=300万円×(1,440万円÷2,400万円)=180万円
  • 所得額=300万円ー180万円=120万円

上記の公的年金と生命保険契約による個人年金による雑所得総額は352万5千円になります。ここでは必要経費の考え方(求め方)を覚えることです。

次は生命保険の満期保険金についてです。満期保険金や解約返戻金などは一時所得に区分されます。そう言われてみれば、毎年ある収入ではないので、その時だけの一時的な収入ですね。この保険金収入を得るために支出した金額(保険料)を控除できるのは当然ですが、受取人がすべての保険料を支出していれば問題なく保険金は一時所得の区分になりますが、他人が保険料を支出している場合は、受け取る保険金に贈与税が発生します。今回の場合は全て本人が保険料を払っているとします。一例として生命保険の満期保険金600万円、払込期間10年、払込保険料総額350万円とした場合の計算は、

  • 一時所得金額=600万円ー350万円ー50万円(特別控除)=200万円

一時所得には必要経費とは別に50万円の特別控除額があります。とても有難いですね。でも、自分で長年に渡り保険料を払っているから満期で得られる保険金なので、税金を払うこと自体に、あまり釈然としない思いを感じます。 そうなんですね。もうひとつ有難いことがあります。一時所得金額の半分が課税所得として加算されるのです。すなわち課税所得への算入額50%OFFになります。

  • 課税所得として加算される額 = 一時所得金額 × (1/2)

言い換えると、税金を計算する際に一時所得の所得金額が半額に(少なく)してくれるのです。

ここまで、雑所得と一時所得について、収入金額から費用などを差し引いて所得金額を算出する流れを確認する、という例題でした。

最後に総所得金額から所得税額を求める流れです。所得金額には復興特別所得税額を含む、という条件です。例題は収入金額を500万円、所得控除額を200万円とした場合、

  • 課税総所得金額=500万円-200万円=300万円
  • 所得税額=300万円 ×10%-9万7千円=20万2千5百円
  • 復興特別所得税額を加算すると =20万2千5百円 + 20万2千5百円 × 2.1%=206,752.5円 ≒ 20万6千7百円(百円未満切捨)

このように所得税額まで求める例題でした。所得税額の式は例題の中で提供されます。

なお、「百円未満切り捨て」が当たり前のように解答例に記載があります。調べてみると納税額は100円未満切り捨てという決まり事です。税金を切り捨ててくれることは有難いことですが、その理由を調べてみても、”私見”の条件付きしか見当たりません。仮にですが、1円単位まで税金を徴収したとしたら、税金の徴収額は総額でどれほど増えるのだろうか、と思います。昨今のペーパーレス、自動計算、などは手作業を大きく削減しています。仮に、切り捨て作業の理由が工数削減や煩雑化の抑制にあるならば、その程度も過去と今では違っているように思います。

【重要事項】本文はブログ作成当時のファイナンシャルプランニング技能士国家試験に向けた学習記録を綴った内容です。従って、本文中に記載した法令等に基づく記述は現在の内容と異なる可能性があります。法令等に関する内容は、必ず最新情報をご確認ください。宜しくお願いします。