事業承継(遺留分の民法特例)

事業承継(遺留分の民法特例)

えふぴー爺さんです。いよいよ、”きんざい”発行のFP2級精選問題解説集も最終項 F-12です。例題は、まぎらわしい点である民法上の法定相続人と相続税計算上の法定相続人との違い、「遺留分に関する民法の特例」、等の問いです。

まずは法定相続人について整理します。

養子の法定相続人数に関して異なります。

  • 民 法 の法定相続人:養子は全て実子と同じ
  • 相続税法の法定相続人:養子は実子がいなければ2人まで、実子がいれば1人まで。

民法上は実子と全て同じ扱いです。一方、相続税法上は多くの養子縁組をして、相続税の負担を減らすことを防ぐために相続税法上の法定相続人数に含める養子の人数を制限しています。

相続放棄者に対する法定相続人数の扱いが異なります。

  • 民 法 の法定相続人:相続放棄した相続人は法定相続人から除く
  • 相続税法の法定相続人:相続放棄した相続人も法定相続人に含める

仮に、第一順位の配偶者と子が相続放棄すると、第二順位の父母に権利が移行して、父母も相続放棄すると、第三順位の兄弟姉妹になります。兄弟姉妹も相続放棄すると財産と債務は国に帰属します。従って、相続する順位のところの人数が民法上の法定相続人数になります。一方、相続税上は相続人数が増える基礎控除額が増えて、税額が減少するのは困ります。従って、相続放棄に関係なく法定相続人数を算出します。

理由を知ると、理解が深まりますね。でも、同じ「法定相続人数」という単語を使うからまぎらわしい訳で、違う言葉にしてほしいものです。

次に遺留分に関する民法の特例についての問いです。この特例の目的は、相続による内部紛争の防止、自社株式分散を防止の手段となる特例で、結果として後継者へスムーズに事業を承継できる環境を作っています。ポイントは2つです

除外合意:後継者へ贈与等した自社株式を遺留分算定基礎財産から除外することに推定相続人全員が合意することで、自社株式についての相続紛争を抑えて、後継者へ集中的に株式を承継できます。

固定合意:上記と似ていますが、遺留分算基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定することに合意することで、自社株式の価額が上昇しても、相続時に想定外の遺留分の主張を受けることがなくなります。

これらの合意手続きは、経済産業大臣の確認仮定裁判所の許可が必要です。

詳しくは下記の資料を参照してください。

参考:遺留分に関する民法特例のポイント(経済産業省)

【重要事項】本文はブログ作成当時のファイナンシャルプランニング技能士国家試験に向けた学習記録を綴った内容です。従って、本文中に記載した法令等に基づく記述は現在の内容と異なる可能性があります。法令等に関する内容は、必ず最新情報をご確認ください。宜しくお願いします。