小規模宅地の相続税特例

小規模宅地の相続税特例

えふぴー爺さんです。相続税の各種特例のなかで最重要と言われる「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」です。ずいぶんと長い名前で、すでに分かり難い感が強いですね。”きんざい”発行のFP2級精選問題解説集のF-9:「小規模宅地等についての相続税の課税価格計算特例」が例題です。なんと、「課税価格の計算」時点で行うのです。

実技計算の前に、この特例に関するポイントについても問があります。下記に記載します。

  • 本特例では更地(青空駐車場を含む)は適用対象とならない(建物又は構造物の敷地であることが条件である)
  • 贈与による取得は適用対象にならない(あくまでも相続又は遺贈
  • 相続税の申告期限までに分割されていない宅地であっても、3年以内に分割されれば適用を受けられる (未分割のままで分割する予定もなければ適用は受けられない)

この特例は、被相続人(亡くなった人)が宅地として使用していた土地について、一定条件(配偶者や同居親族、別居親族)の相続人に課税価格を大幅に割り引いて相続を可能にします。おそらく背景として、残された配偶者や同居人の税額負担を軽減するためと思います。

実技の例題は、被相続人の土地が小規模宅地等の特例に適合しているか否かの判断と、減額率を適用した場合の課税価格評価額を求めるものです。結局のところ、以下に記載した小規模宅地の区分、等が頭に残っていなければ解けません。

  1. 特定居住用宅地:住んでいた土地と家
  2. 特定事業用宅地:被相続人が個人事業を営んでいた時の事業用の土地
  3. 特定同族会社事業用宅地:被相続人が個人で所有していた土地を自ら経営する会社( 同族会社)に貸し出していた土地
  4. 貸付事業用宅地:賃貸アパートや菓子駐車場など、貸付事業に使用していた土地

亡くなった人の土地も、4区分のいずれかに該当している必要があります。次に、小規模宅地というからには面積を覚える必要があります。そこで、小規模宅地以外に中規模宅地や大規模宅地などの規定があるのか調べてみました。中規模宅地は見当たりませんが、大規模宅地は500㎡以上から特例(平成30年1月1日施行)があるようです。学習範囲外のようなので詳しくは調べません。ということで、小規模宅地は500㎡未満だろうという予想がつきます。

  1. 特定居住用宅地     :取得者毎に330㎡まで、80%減
  2. 特定事業用宅地     :取得者毎に400㎡まで、80%減
  3. 特定同族会社事業用宅地 :取得者毎に400㎡まで、80%減
  4. 貸付事業用宅地     :取得者毎に200㎡まで、50%減

という限度面積と課税価格の減額割合です。なお、共同相続した場合は取得者毎の特例であることを忘れずに。えふぴー爺さんは、この事をすっかりと忘れていましたので、例題も共同相続であったため、結果は全滅でした。

計算式は1人相続の特定居住用宅地で、相続面積よりも限度面積が小さい場合、

  • 減額される金額=自用地評価額 × (330㎡ ÷ 相続面積)× 80%
  • 適用後の相続税評価額= 自用地評価額 - 減額される金額

 さらに、複雑にしているのが「適用面積の併用と調整」という規定です。併用というのは特定居住用宅地と特定事業用宅地(特定同族会社事業用宅地を含む)では取得者毎に適用対象面積まで適用できるという完全併用可能なのです。つまり、最大で740㎡まで80%減額になるということです。

一方、調整というのは貸付事業用宅地を含む選択をする場合は計算が複雑です。特別居住用宅地と特定事業用宅地(特定同族会社事業用宅地を含む)と貸付事業用宅地の適用面積の合計が200㎡以下と、限定的併用で調整する必要があります。

特別居住用宅地の適用面積×(200÷330)+特定事業用宅地の適用面積(特定同族会社事業用宅地を含む)×(200÷400)+貸付事業用宅地 ≦ 200㎡

となるように各適用を調整しなければならないのです。面倒ですね。なぜ、このような規定なのか調べてみました。平成26年12月末までは「適用面積の併用」規定が存在していません。全て調整だけでした。平成27年1月以降から「適用面積の併用」の改訂が行われて自宅兼事務所、自分の土地を自社に貸し付けている、などのオーナーは有利になりました。しかし、貸付事業用宅地を小規模宅地の特例にする場合のみ調整が残った、ということです。

【重要事項】本文はブログ作成当時のファイナンシャルプランニング技能士国家試験に向けた学習記録を綴った内容です。従って、本文中に記載した法令等に基づく記述は現在の内容と異なる可能性があります。法令等に関する内容は、必ず最新情報をご確認ください。宜しくお願いします。