配偶者の相続税額軽減

配偶者の相続税額軽減

えふぴー爺さんです。ここからは相続税に関する実技試験例題が3連続です。最初は”きんざい”発行のFP2級精選問題解説集のF-3:「相続税の計算(1)」になります。相続に関して配偶者の存在は特別です。これを「配偶者に対する相続税額の軽減」と言います。

実技問題の前にいくつかの重要ポイントを確認します。最初は任意後見制度についての問いがありました。ここでは、あらためて納得できた点があります。それは、任意後見監督人(個人または法人)の存在があることです。

まずは法定後見制度をザックリまとめると、「判断能力が不十分な状態の人を、法律的に保護し支援する者を成年後見人といい、家庭裁判所が選任します。後見開始の審判は本人、配偶者及び4親等内の親族が申し立てることで行われます。」 これは民法が根拠になります。また、判断能力の度合いで、「後見」、「保佐」、「補助」の3つの種類があります。

次に任意後見制度をザックリまとめると、「本人に十分な判断能力があるうちに、公正証書によって任意後見契約を締結して、任意後見受任者(=任意後見人)を選んでおく。その後、本人の判断能力が不十分な状態になったときに、本人または配偶者などの請求により、家庭裁判所が任意後見監督人を選任する。この時から任意後見契約の効力が生じる。」 家庭裁判所は任意後見監督人を、任意後見監督人は任意後見人を、それぞれ監督することになります。

このように後見制度も2つあります。大きな違いは、

  • 法定後見制度:民法に基づく。判断能力が不十分な状態(能力低下後)で開始
  • 任意後見制度:任意後見契約に基づく。本人の意思(能力低下前)が反映される。

このように2つある後見制度を、えふぴー爺さんは整理して覚えていなかったので、あやふやな理解でしたが、だいぶ整理できました。

次にもう一つ、死亡保険金の非課税控除についてです。ここでも数字を覚えなければなりません。その前に、死亡保険金とは(ドラマでも取り上げられることが多々あります、)被相続人(例えば夫)が自らの死亡保険の保険料を支払い、且つ、自らを受取人としていた場合です。死亡保険金は相続人(例えば、妻や子)が受け取ります。ここで、死亡保険金に非課税控除が存在する理由を調べてみると、残された家族への生活保障という目的で、被相続人(例えば夫)は自ら生命保険を掛けて、自分を受取人とすれば、保険金は法定相続人である妻や子へ支払われる事を前提としていた。確かに、その通りなので、非課税控除の優遇措置があっても当然です。では、その非課税控除額は、

500万円 × 法定相続人数

です。すこし少ないと思うのは、私だけかなぁ。この感覚があるから度々間違ってしまいます。そこでデータを調べてみました。死亡保険金の相場は3,000万円から5,000万円です。保険料の平均は平成24年度で月額35,000円程度です。仮に、子育て期間の真ん中として10年経過した時に、死亡保険金が支払われたとした場合、それまでの累計保険料が420万円です。(だいぶ、500万円に近づいてきました。)ここで相続人は妻と子供2人とすると、非課税控除額は1,500万円です。死亡保険金の2分の1程度が非課税として控除できる、と覚えましょう。

最後に実技問題の例題です。配偶者の相続税額軽減です。配偶者の婚姻期間は問いませんが、内縁関係にある者は含まれません。配偶者は、亡くなられた被相続人と共に過ごし、共に財産の構築を行ってきたという前提で相続税の軽減が行われると考えます。仮に、相続人が被相続人の配偶者のみである場合は、この軽減措置により配偶者が納付する相続税額はゼロになります。後述する計算式で、配偶者の法定相続分100%になるので、分数式が1となり、軽減額と相続税の総額がイコールになるからです。 それでも、申告は必ず行わなければいけません。あらためて計算式は、次のようになります。

軽減額 = 相続税の総額 ×( Ⓐ ÷ 相続税の課税価格の合計額 )

言葉で言うと、総課税価格に対する配偶者分の「課税価格」割合に基づき、相続税総額に同様の割合で算出した分が軽減されます。でも、これだけじゃない。Ⓐの決め方がすさまじい内容です。Ⓐは下記のいずれか小さい方です。

  1. 「相続税の課税価格の合計額 × 配偶者の法定相続分 」 但し、最低 1億6,000万円
  2. 配偶者の取得した財産の価額(課税価格のこと)

1項の内容を具体的に表すと、配偶者の法定相続分が1億2,000万円の場合は最低額の1億6,000万円より小さいので、1億6,000万円を選択します。仮に法定相続分が2億円の場合は、最低の1億6,000万円よりも大きいので2億円を選択します。

2項の内容は自宅敷地や家屋、預貯金、有価証券、等々で、相続により配偶者が取得する財産の価額のことで課税価格と記載されています。例題では1億8,400万円と記載されています。(サラリーマン人生では、そんなには財産は残らないですね)

どちらか小さい方を Ⓐ として分子に置きます。例題では1項になります。(サラリーマンならば、、、えふぴー爺さんの場合は間違いなく2項の方が小さいでしょう)

実際に例題からの数字を式に当てまめると、

  • 相続税の課税価格の合計額  2億4,000万円
  • 配偶者の取得した財産の価額 1億8,400万円
  • 相続税の総額           3,350万円
  • 税額軽減額          ≒2,233万円

というわけで、沢山の覚える数字があります。且つ、大きい方とか、小さい方とか、選択も様々です。とても覚え難いですね。だから試験問題にも出題が多いのでしょう。

【重要事項】本文はブログ作成当時のファイナンシャルプランニング技能士国家試験に向けた学習記録を綴った内容です。従って、本文中に記載した法令等に基づく記述は現在の内容と異なる可能性があります。法令等に関する内容は、必ず最新情報をご確認ください。宜しくお願いします。