不動産所得(経費と通算)
- 2020.06.17
- ファイナンシャルプランナーへの道
えふぴー爺さんです。今回はタックスプランニングの実技例題”不動産所得”についてです。”きんざい”発行のFP2級精選問題解説集[実技]のD-8:「不動産所得」の例題を解いてみます。不動産の所得とは、土地や建物などを使用した賃貸収入がある場合が対象です。最近はアパート経営をサイドビジネスとして行う方も多くなった様です。自宅近くでも農地が賃貸アパートへと変貌する姿が増えています。不動産所得は事業所得との境界線が難しいです。一般的には、その規模(部屋数や建屋数など)によりますが、一概には判断できません。
不動産所得の問題でキーとなる点は、必要経費に含められないものです。
不動産所得の金額 = 総収入金額 - 必要経費
必要経費の意味が解れば、それほど難しいはずはないはずなので調べてみました。不動産所得の必要経費を解りやすく言えば、「その不動産を継続して貸し付けることができるように管理し続けなければならないので、その為にかかる出費である」、でどうでしょうか。お客さまへ貸し出すことができるようにするためには、修理は当たり前です。税金や減価償却費も払う必要があります。損害保険料も万一に備えて必要です。不動産の取得に用した借入金の利子も、不動産所得を継続するために必要な出費です。
ただし、借入金元本返済額は必要経費ではないのです。借入金は借り入れた時(お金が手元に入ってきた時)に売上としておりません。もしも、売上に含めたら多額の税金を納めることになります。ですから、返済するときも所得が減る(税金が減る)ような影響をあたえる必要経費に含めることはしません。この点が要注意です。えふぴー爺さんも理解な部分です。
次の問いでは”損益通算”の確認です。不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の4つの所得では赤字(損失)の金額を、他の黒字の所得から差し引く(損益通算)ことができます。特別待遇の4所得だと思ってください。例題では土地の取得にかかる借入金の利子は必要経費ではあるが、損益通算はできない、ということを理解しているかが問題です。少し補足しておくと譲渡所得は3つに細分化されており、上記の譲渡所得は「総合課税となる一般資産」のことです。
具体的には土地と建物の取得に用いた総借入金から、建物部分の金額を差し引いて、その残額を”土地に係る借入金”と見なします。その「土地に係る借入金」から損益通算できない”土地の取得にかかる借入金の利子”額分を計算します。その利子金額が、仮に年間で500万円だとします。不動産所得額を損益通算する際に、500万円の損益通算できない額が必要経費が含まれていることになります。
従って、仮に不動産所得額が600万円の赤字であれば、600万円 ー 500万円=100万円 の赤字分が損益通算上の損失額として他の所得と通算できます。仮に不動産所得額が400万円の赤字であれば、400万円 - 500万円 ≦ 0 ですので損益通算できる損失は無いことになります。
不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の4つは、なかなか利益が得られ難い所得区分のようです。投資をした時点から利益が得られるようになるまで、長期の期間が必要になるのは予想できます。従って、損益通算という優遇制度が設けられたのでしょう。他にも、山林所得などは他の所得と分離するために申告分離課税の適用となっています。
以上です。損益通算という言葉は他のケース(上場株式の譲渡所得・配当所得・特定公社債の利子所得)でも使用されるので、えふぴー爺さんは度々混乱して間違ってしまいます。
【重要事項】本文はブログ作成当時のファイナンシャルプランニング技能士国家試験に向けた学習記録を綴った内容です。従って、本文中に記載した法令等に基づく記述は現在の内容と異なる可能性があります。法令等に関する内容は、必ず最新情報をご確認ください。宜しくお願いします。
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