養子含む相続税計算
- 2020.07.07
- ファイナンシャルプランナーへの道
えふぴー爺さんです。「相続税の計算」の第2弾です。”きんざい”発行のFP2級精選問題解説集のF-4:「相続税の計算(2)」になります。実技例題は普通養子を含む場合の相続税の計算問題です。
相続税の計算をする際に、下記の手順で行います。
- 相続(又は遺贈)で財産を取得する者毎に相続財産とみなし相続財産を把握する
- 非課税財産(生命保険金や死亡退職金の一定額、墓所、等)に該当するものを差し引く
- 被相続人の債務(ローンやクレジットの残高、税金、等)と葬儀費用を差し引く
- 3年以内の暦年贈与、相続時精算課税制度による贈与財産を加算する
- ここまでで、各人の課税価格が求められた
- 各人の課税価格を合計したのが「課税価格の合計額」と表す
- 基礎控除額を求める
- 課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求める
えふぴー爺さんが間違ったのは、取得する者毎(=法定相続人)に課税価格を求めて、取得する者毎に税額を求めるべきところを、課税価格の合計額から総税額を求めてしまったことがあります。基本の流れが身に付いていませんでした。
では実技問題の前にいくつか重要ポイントを確認します。
最初は、上記の7項にある「基礎控除額」です。基礎控除額を差し引いたのが課税遺産総額になります。
基礎控除額 =3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数
仮に、課税価格の合計額が、基礎控除額以内であれば相続税はかかりません。この基礎控除額の式は覚えるしかないのですが、見方を変えると、基礎控除額までは相続する家族に最低限必要な分だから無税でいいけど、超えるならば余剰分があるとして課税しますよ、と言っているようです。身近な家族構成で考えると、妻と子供1人ならば 4,200万円、妻と子供2人ならば4,800万円が基礎控除額ということです。(えふぴー爺さんは一般人の代表だと思います。だから、最低限必要と判断できる範囲内が一般でしょう。)
次は4項に関するところで「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」です。この制度は直系尊属が金銭を拠出し(=出し合って)、金融機関に信託等(目的に沿って大切な人のために運用・管理してもらう)をした場合に、受贈者(30歳未満で前年の合計所得金額が1,000万円以下であること)1人につき1,500万円まで贈与税が非課税になります。ここで注意しなくてはいけないのが、贈与者が死亡する3年以内に行われた当該贈与について、相続開始時点において、下記のいずれかに該当すると残高に相続税ふが加算されます。
- 23歳以上である場合
- 学校に在学していない
- 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講していない場合
と、教育資金の残高を当該非課税措置の目的に沿って活用する状況にないと判断されて相続税に加算されるのでしょう。同様な非課税措置で「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」があります。概要は受贈者(20歳以上50歳未満で前年の合計所得金額が1,000万円以下であること)1人1,000万円まで贈与税は非課税です。しかし、贈与者の死亡時に使い切れていない残額は、相続税の課税価格に加算されます。これは早めに使い切った方がいいですね。
最後に実技問題の例題です。これは養子が法律上は血族と同じで、実子と同じ相続分があることを理解していれば難しくはありません。但し、以下の制約が重要です。
- 法定相続人に含められる養子の人数は、実子がいない場合は養子2名まで。
- 法定相続人に含められる養子の人数は、実子がいる場合は養子1名まで。
なお、例題にはありませんが、特別養子縁組により養子となっている者は相続税の計算上は実の子供として扱われるので、上記の養子人数の制約を受けません。
【重要事項】本文はブログ作成当時のファイナンシャルプランニング技能士国家試験に向けた学習記録を綴った内容です。従って、本文中に記載した法令等に基づく記述は現在の内容と異なる可能性があります。法令等に関する内容は、必ず最新情報をご確認ください。宜しくお願いします。
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