相続した不動産の譲渡所得の特例

相続した不動産の譲渡所得の特例

えふぴー爺さんです。FP2級精選問題解説集のE-10:「相続した不動産の譲渡」の例題を解きます。”不動産の譲渡所得と税金”はすでに学習しました。今回は「相続した不動産・・」という特別な不動産という感じの例題です。

例題及び問題文を読むと、特別な不動産とは、相続又は遺贈による不動産は特別な不動産と考えることができる期間があります。その期間は「相続税の申告期限の翌日から3年以内で売却」した場合のことです。正しくは、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」といいます。例題は以下のような具体的な流れになっています。

  1. 親から土地等の財産を相続した
  2. 相続税を納めるには、相続した不動産の一部を売却したい
  3. 相続した不動産分の売却には特例があり、課税所得額が優遇される

土地等を親から相続したために、相続税額を全て金銭で即納するのが難しい人に、納めやすくなるよう考えた特例だなぁ、という感じです。特例の概略は「相続により取得した土地、建物、株式などを、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる」ということです。あくまでも譲渡所得が対象で、これ以外はダメです。ここで ”取得費に加算する” ということは、計算上は所得金額計算時の控除額ということです。では、その「相続財産を譲渡した場合の取得費へ加算する計算式は、

確定相続税額 × (譲渡した資産の課税価格の計算の基礎とされた価額 ÷ 譲渡者の相続税の課税価格)

です。何か、とても解り難いです。えふぴー爺さんの言葉で超簡略化すると、①:私が納める相続税額、②:相続した財産から売却する分の相続税評価額、③:私が相続した全財産の相続税評価額

① × (②÷③)

(②÷③)は私が相続した財産の全相続税額に対して売却した財産分の割合です。その算出には相続税評価額という基準で求めます。この割合を ①(納める相続税額)に掛けることで、売却した資産に相当する相続税額が求められます。これが取得費に加算できる(=控除額)となる相続税額になります。例題では手取金額を求めるので、

  1. 取得費に加算される相続税額 (上記したように求めます)
  2. 課税所得: 売却金額 ー(取得価額 + 取得費に加算される相続税額
  3. 税額(所得税と住民税): 課税所得 × 20.315%(例題文では長期譲渡所得である)
  4. 手取金額(例題文より): 売却金額 - 税額

という順に計算します。例題文は実技問題なので”短期譲渡所得”なのか”長期譲渡所得”なのかを文脈から読み取り判断することになります。 ・・短期譲渡所得の場合は何%だったかなぁ??

なお、えふぴー爺さんはこの例題を不正解でした。学科学習時に勉強した痕跡は残っていましたが、頭の中には残っていなかったので、今回再書き込みしました。

最後に相続税の納税資金対策に対する正誤問題があります。

「延納期間は最高5年が原則(相続税額が10万円を超えること)。ただし、相続により取得した財産に占める不動産の割合が75%以上である場合は、不動産に係る相続税額の延納期間は最高20年となる。」これは適切です。不動産を相続するという事は、いろいろと考えることが増えますね。被相続人は相続税に相当する分は金銭で相続できるように準備すべきです。

「不動産を相続し延納を選択した場合は利子税が課されます。利子税は不動産所得の必要経費となりません。借り入れ条件によっては、延納に代えて、金融機関から借入により相続税を一括納付することも検討に値します。」これは適切です。利子や金利は一定ではないので調査すべきなのでしょう。

「不動産を物納する際に、収納価額は課税時期の時価であり、不動産の有効活用などの特例を受けて相続税評価額を引き下げる対策は物納を利用する場合は有効である」これは不適切です。引き下げる対策をすると、低い評価額が物納の評価額にもなるので、必ずしも有効とは言えなくなります。

という問いがありました。今回で不動産の実技例題は終了です。

【重要事項】本文はブログ作成当時のファイナンシャルプランニング技能士国家試験に向けた学習記録を綴った内容です。従って、本文中に記載した法令等に基づく記述は現在の内容と異なる可能性があります。法令等に関する内容は、必ず最新情報をご確認ください。宜しくお願いします。