居住用財産の譲渡と特例(2/2)

居住用財産の譲渡と特例(2/2)

えふぴー爺さんです。前の記事からの続きです。

次はE-6とE-7の例題文で、「買換えの特例」に関してです。これは特定の条件に合致した居住用財産(住んでいる家、住んでいた家)を売って、居住用の家(財産)を買うという場合の特例です。但し、「3,000万円特別控除」と「軽減税率の特例」を、この「買換えの特例」と重複して利用できません。なお、譲渡(売る家)する家には次の条件が必要です。

  • 所有期間が10年超
  • 居住期間が10年以上
  • 譲渡金額が1億円以下

次に買換をする資産(買う家)の条件は、

  • 床面積50㎡以上
  • 敷地面積500㎡以下
  •   :

他にも条件がありますが、詳細な記載は省きます。結構、細かな条件です。 では、どんな特例になるのかを確認します。特例は2つに分けられます。

  1. 譲渡資産の譲渡価額 ≦ 買換資産の取得価額 ・・ 売った金額よりも高い買換え
  2. 譲渡資産の譲渡価額 >買換資産の取得価額 ・・ 売った金額よりも安い買換え

当たり前ですが、どちらかになる訳です。

「1.譲渡資産の譲渡価額 ≦ 買換資産の取得価額(=売った金額よりも高い買換え)」の場合は、譲渡により得た売却額を買換するマイホームの購入費用に全て充てると考えて、譲渡で得た譲渡益に係る税金を、今回は課税せずに先送り(課税の繰り延べ)し、将来に買換たマイホームを売却するときに加算して課税するという特例。今回は住んでいるマイホームを売った(譲渡した)際の利益(譲渡益)に課税されないので、その譲渡益を、そのまま次のマイホ-ムの購入資金になるので買換えが容易になりますが、税金の支払いが後回しになるだけです。

次に「2.譲渡資産の譲渡価額 >買換資産の取得価額 (=売った金額よりも安い買換え」の場合は、譲渡による売却金額の一部を、買換するマイホームの購入費用に充てると考えて、この分の譲渡益に係る税金は先送りされます。でも、手元には差額が残っているので、その差額分は収入金額として課税されます。この計算式はちょっと面倒です。えふぴー爺さんは例題を解く時に思い出せませんでした。今一度、計算式の考え方をまとめます。

ミソは、差額のみを収入金額として課税する。ということは、その収入金額分に相当する費用を求めて、「収入金額ー費用=課税所得価額」に当てはめることです。これを順に行うと、

  • 収入金額=譲渡資産の譲渡価額 ー買換資産の取得価額

これで収入金額を算出します。次に費用を計算します。費用は譲渡資産の取得費と譲渡費用の合算額です。これらは例題文に記載されているか、または取得費不明として概算取得費(5%)を求めることになります。そして、譲渡価額に占める収入金額分の割合を求めます。費用についても、同じ割合と考えて、総費用に割合を掛ければ求められます。合理的な考え方だと思います。

  • 割合 = 収入金額 ÷ 譲渡資産の譲渡価額
  • 差額収入金額分の費用=(譲渡資産の取得費+譲渡費用)× 割合

最後に、差額収入分の譲渡益を算出して、税率を適用します。税率は軽減税率を使用できないので20.315%です。

  • 譲渡益 = 収入金額ー差額収入金額分の費用
  • 税額 = 譲渡益 × 20.315% (所得税15.315% , 住民税5%)

最後に、「買換えの特例」はストレートに課税所得が控除されたり、税率が軽減されたりしません。あくまでも先送りです。従って、実際に特例を利用する場合は「3,000万円の特別控除」と「軽減税率」を利用される場合が多いと思います。なかなか「買換えの特例」はレアなケースではないでしょうか。あるいは、何度も特例を利用して、双方のメリットを生かすとか、、。  えふぴー爺さんも、どちらにするか悩むくらいだったら、きっと計算式は ”アッ” と言う間に頭に入るでしょう。

【重要事項】本文はブログ作成当時のファイナンシャルプランニング技能士国家試験に向けた学習記録を綴った内容です。従って、本文中に記載した法令等に基づく記述は現在の内容と異なる可能性があります。法令等に関する内容は、必ず最新情報をご確認ください。宜しくお願いします。