不動産の譲渡所得と税金
- 2020.06.23
- ファイナンシャルプランナーへの道
えふぴー爺さんです。FP2級精選問題解説集のE-4:「不動産の譲渡と税金」の例題を解きます。譲渡所得は3つに細分化され、その中のひとつが「土地等の譲渡所得」で分離課税が適用されます。例題に入る前に押さえておくべきポイントを整理すると、「土地等の譲渡所得」は他の所得と合算せずに独自の税率をかけて税額を計算します。その理由を調べてみました。土地や家屋の売却は一生に一度か二度の高額所得です。仮に総合課税として他の所得と合算すると超過累進税率により税額が計算され、いきなり大きな金額となります。これでは適切な課税とは言えません。そこで、税負担を軽減するために分離課税として、「土地等の譲渡所得」は独自の税率で税額を決めます。
実技問題の前に、ニッチな問がありましたので紹介します。長い文章なので、抜粋して例題文を記載すると、「・・宅地建物取引業者名簿は閲覧所に備えてあり、請求があった時は、一般の閲覧に供しなければならない。この名簿には業務停止処分を受けたことがある業者について、処分内容も記載されている」、これは正解か不正解か? 答えは正解です。 私には、ある意味でとても専門的な問題と感じました。さすがに不動産関連で働いている人しか知らないでしょう。 そして、冷静に考えてみると、一般の人に業者名簿が閲覧できるようにして、且つ、そこに過去の過ちも記載する仕組で、業者の違法行為に対する抑止力が必要なんだなぁ、と笑ってしまいました。
では、本題の実技問題です。土地等の譲渡所得の計算式は、
土地等の譲渡所得金額 = 譲渡価額 - (取得額 + 譲渡費用)
この中で取得額と譲渡費用の理解度合いが問われます。例題文では取得額が不明な場合の概算取得費は譲渡価額の5%であることを計算問題でだしてます。もし、実際の取得費が譲渡価額の5%を下回っても、5%にすることができます。5%って多いのか少ないのか、世間相場が解かりません。記憶し難いです。そこで、2世代前(1997年から2013年)の消費税率と同じ、でどうでしょうか。
譲渡費用は譲渡に際して直接要した費用(手数料、印紙税、測量費、立退料、取り壊し費用、広告費など)です。
間違っても、土地等の資産管理・維持に係る必要経費(修繕費、固定資産税、都市計画税など)ではありません。ここは要注意です。不動産所得のところでは必要経費だったので混乱しやすいです。(えふぴー爺さんは今も混乱中です。)
例題にはありませんが、「土地等の譲渡所得」の税率は、譲渡までの所有期間によって異なります。これはバブル時代の”土地転がし”と呼ばれた転売行為を防止するためです。譲渡した日が属する年の1月1日現在で判定して、5年以下は短期、5年を超えると長期になります。
- 短期譲渡所得の税率:39.63%
- 長期譲渡所得の税率:20.315%
2倍近い税率の差です。税の中身は所得税、復興特別所得税、住民税です。異色なのは復興特別所得税です。復興特別所得税額を求める問題もあるので、以下に補足します。
復興特別所得税 = 所得税 × 2.1% これを覚えましょう
そうすると、上記した短期譲渡所得税、及び長期譲渡所得税の中身は、
- 短期:所得税30%、復興特別所得税0.63% (=30%×2.1%)、 住民税9%
- 長期:所得税15%、復興特別所得税0.315% (=15%×2.1%)、住民税5%
となります。(出来れば、住民税も短期譲渡所得は長期譲渡所得の2倍であれば覚えやすいのに!)
【重要事項】本文はブログ作成当時のファイナンシャルプランニング技能士国家試験に向けた学習記録を綴った内容です。従って、本文中に記載した法令等に基づく記述は現在の内容と異なる可能性があります。法令等に関する内容は、必ず最新情報をご確認ください。宜しくお願いします。
-
前の記事
不動産取得時の注意点 2020.06.22
-
次の記事
居住用財産の譲渡と特例(1/2) 2020.06.24